憲法・教育

希望を胸に、実りある高校時代を

高校への入学、おめでとうございます。
今日からはじまる高校生活、期待と不安が入り交じってのスタートですね。実りある高校生活をみんなでつくりあげていくため、この小さなパンフレットでごいっしょに考えていきましょう。

「勉強は苦役」なの?

「日本の子どもたちは学力低下!」一昨年末にOECD(経済協力開発機構)の国際学習到達度調査や、IEA(国際教育到達度評価学会)の学力調査の報道で、こんな言葉が新聞をにぎわしました。文部科学省は、さっそく「ゆとり教育見直し」や「競争で学力向上」をいいはじめていますが、「そんなことで解決するの?」という声が広がっています。
それ以上に深刻なのは、「勉強が楽しいと思う」という生徒が国際平均値を大きく下回っていることです。就職希望と勉学意欲の相関関係も、日本の子どもは極端に低いことを示しています。学習に対する自己評価が低いということは、「勉強は苦役でしかない」と感じていることに他なりません。
日本青少年研究所がまとめた「高校生の学習意識と日常生活調査」の結果では、日本は「学校以外では勉強しない」と答えた高校生が四五%と最も多く、米中韓と比べて際立って高くなっています。日本の子どもたちは、どうして「勉強ぎらい」なのでしょうか。なぜ自分に満足できないのでしょうか。

「競争」ではなく「共創」を!

「競争」と「自己責任」の風潮で、日本に格差社会が広がっているといわれます。「弱肉強食」の社会は、子どもたちの中にも暗い影を落としています。本当に子どもは競争を強いることで伸びるのでしょうか。
この三月に府立高校を卒業した女子生徒は、「私たちは競争の中で生きてきたが、点数があの子より高かったと思う自分がすごくきらい。自分が好きでなくなる。それより友だちに期待されることで勉強が好きになる」と発言しています。
仲間たちとともに元気に明るく行動する高校生たち、生徒会やクラス活動に汗を流す高校生たち、ボランティア活動や平和のとりくみに参加する高校生たち、これが本当の高校生の姿ではないでしょうか。

人間らしいつながりを!

高校時代は多くの人たちとのふれあいを通して自分を発見し、他者を発見して自立していく、大切な時期です。
一方では、高校生をめぐって不安な要素は少なくありません。そんなときこそ、子どもを「上」から見るのではなく、子どもへの信頼を基礎にしながら、親どうし・地域・学校とのネットワークが大切です。大人どうしの関係こそが、さまざまな不安から高校生を守ってくれることでしょう。
さあ、実りある高校生活をめざして、希望を胸に、しっかりと一歩を踏み出しましょう。

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